JTMI 税理士法人 日本税務総研

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  • 占用権の評価

    占用権の評価

    占用権の評価

    占用権は次の区分に応じて次のように評価します。

    (1)取引事例のある占用権

    大阪市の船場センタービルの区分所有権と共に移転される道路占用権の評価

    (算式)

    各号間の階層別占用権積算価額×専用部分の面積(㎡)

    専用部分の面積は、「建物の区分所有等に関する法律」に基づいて定められた「船場センタービル区分所有社会」の「船場センタービル規約」に定める「専用部分の範囲」に基づいて計測した面積とします。

    【表32】各号館の階層別占用権積算価額表(令和6年分)

    (単位:円/㎡)地下2階地下1階1階2階3階4階
    1号館81,700190,300135,30095,800
    2号館131,800204,500145,400103,00072,700
    3号館148,700230,800164,100116,20082,000
    4号館241,200374,400268,300187,200133,100133,100
    5号館342,900245,700171,400121,900
    6号館338,400242,500169,200120,300
    7号館464,400332,800232,200165,100165,100
    8号館513,900368,200256,900182,700
    9号館359,000557,100399,200278,500198,000
    10号館412,500384,000273,100193,400

    (計算例)

    区分所有権に係る専用部分が3号館の2階で、その面積が60㎡ある店舗の場合

    • 占用権の価額
      116,200円×60㎡=6,972,000円
    • 家屋の価額
      その家屋の固定資産税評価額×1.0

    (2)取引事例のない占用権で、地下街又は家屋の所有を目的とするもの

    占用権の目的となっている土地の価額×借地権割合×1/3

    (3)(1)及び(2)以外のもの(例えば、河川敷ゴルフ場)

    占用権の目的となっている土地の価額×法定地上権割合×1/3

    (注)法定地上権割合は、その占用権の残存期間に応ずる相続税法第23条に定められた割合です。この場合、占用権の残存期間は、占用の許可にかかる占用の期間が占用の許可に基づき所有する工作物、過去における占用の許可の状況、架線等の工事予定の有無等に照らし実質的に更新されることが明らかであると認められる場合には、その占用の許可に係る占用権の残存期間に実質的な更新によって延長されると認められる期間を加算した期間をもって、その占用権の残存期間とします。

    <通通達上の占用権の意義>

    河川法第24条の規定による河川区域内の土地の占用の許可に基づく権利で、ゴルフ場、自動車練習場、運動場その他の工作物(対価を得て他人の利用に供するもの又は専ら特定の者の用に供するものに限ります。)の設置を目的とするものをいい、代表的な例として河川敷ゴルフ場があります。

    道路法第23条1項の規定による道路の占用の許可又は都市公園法第6条1項の規定による都市公園の占用の許可に基づく経済的利益を生ずる権利で駐車場、建物その他の工作物(対価を得て他人の利用に供するものをいい、代表的な例として地下街があります。)

  • 宅地の相続税評価額と時価

    宅地の相続税評価額と時価

    相続税法による時価の意義

    相続税法第22条に財産の価額について、次のように規定されています。

    この章で特別の定めのあるものを除くほか、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価による。

    相続税法第22条(抜粋)

    また、財産評価基本通達(以下、「評基通」といいます。)1(2)には、さらに次のように説明されています。

    財産の価額は、時価によるものとし、時価とは、課税時期において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われている場合に通常成立すると認められる価額をいい、その価額は、この通達の定めによって評価した価額による。

    財産評価基本通達1(2)(抜粋)

    以上の法令通達から、土地等の相続税評価額は、時価によること、その時価とは市場価格であることを明らかにしています。

    ここで「時価による」とは、「時価を反映した」という意味で、時価そのものではありません。また、この時価とは、宅地についてわかりやすくいえば、地価公示価格水準のことです。そしてその80%が相続税評価額ということになります。このことから、相続税法上の時価とは土地の場合、路線価等の相続税評価基準額ということになります。そして、それが公示価格に占める割合を評価水準といいます。どうしてこの評価水準が設けられているかというと、人の判断である以上、合理的な範囲で時価に幅があること、また相続税を納めるために土地を売却せざるを得ないなど現実を考慮しているためだと考えられます。

    実勢価格と公示価格
    実勢価格と公示価格

    実勢価格はその時々に実際に取引が成立している価格ですが、売手と買手、さらに市場の特殊な事情が反映し、その不動産が持つ本来の経済価値とが勢い乖離する場合もあります。そこで実勢価格に対し、それらの特殊な事情を廃除した場合の合理的な価格を公示価格水準の時価ということがあります。

    土地価格の公的指標

    所管公表時期評価基準日
    公示価格国土交通省3月1月1日
    路線価国税庁7月1月1日
    基準地価都道府県9月7月1日

    評価水準と評価時点

    宅地の相続税評価基準額は、相続の発生や贈与があった年(課税時期の属する年)の1月1日を評価時点としています。そしてその時点の地価公示価格水準の概ね80%が宅地の評価額とされています。

    実際には、1月1日の評価時点と課税時期は必ずしも一致しないどころか、ほとんどの場合、評価時点からかなり時間が経過しています。その年の12月31日に相続が開始すると、相続税評価額は同じ金額でも相続開始時点の時価(地価公示価格水準)が20%以上下落するような極端な場合もあります。例えば【図1】のように時価が下がっていった場合、課税時期Bでは、相続開始時点の時価(地価公示価格水準)が相続税評価額を下回ってしまいます。

    【図1】激しい地価下落が続くケース

    激しい地価下落が続くケース
    激しい地価下落が続くケース

    また、相続税の申告期限は相続開始日から10ヶ月以内ですから、極端なケースでは評価時点から申告期限まで最長1年10ヶ月になり、さらに土地の値段が下がって納付資金に事欠くという自体になりかねません。

    そのうえ、相続争いで遺産分割協議が調わないような場合には、さらに時間が経過し、遺産分割ができたときには、相続時点とは全く違った地価情勢になっていることがあります。

    課税時期(相続開始日)がBである場合には、相続税評価額が時価(地価公示価格水準)を上回ることになり、相続税評価基準額によらず、時価で申告することになります。

    課税時期の時点で相続税評価額が時価を下回っていたかを、一般の人が判断するには、課税時期の前後の付近の類似地域にある公示価格(価格時点は1月1日)や基準地価格(価格時点は7月1日)を比較することでその間の平均的な地価変動を目安として活用することができます。この場合【図1】のように地価変動が直線になり、地域によってはもっと複雑な曲線かも知れませんが、あくまで目安として役立ちます。この変動率が20%を超えて下落していると、どこかの時点で時価(公示価格水準)が相続税評価額を下回ることになりますので、注意を要します。

    地価の下落による以外に、時価が路線価等を下回る場合にはその原因となる個別的要因の把握に努め、それに応じた合理的な評価方法を適用して、時価を反映した評価額に近づけるための努力が必要となります。それがうまくできるかどうかは、土地等の相続税評価方法をよく理解しているかどうかにかかっています。

    課税時期がAである場合には、課税時期(相続開始日)には相続税評価額が時価(地価公示価格水準)を下回っていますが、翌年の1月(申告時期)には相続税評価額の方が高くなります。

    このようなことから、次のような対策を考える必要があります。

    1. 不要不動産の早期処分
    2. 物納による納付
    3. スムーズな遺産分割協議の成立
    4. 資産運用による資産価値の増加等

    反対に、地価が激しく上昇しているケースでは、申告時点で時価(地価公示価格水準(仮に100とする))が相続税評価額(仮に80とする)の125%(=100÷80)を大きく上回っていても、そのことを理由に税務署から申告の修正を迫られることはありません。

    いずれにせよ、土地の時価(地価公示価格水準)に精通していることは、相続税の申告ばかりでなくその前後の対策にとっても大切です。


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    • 二方路線影響加算率

      二方路線影響加算率

      二方路線影響加算率は、次のような典型的な二方路線に面した土地を前提として決められているという理解があれば、それ以外のケースで同じ率を使うのは合理的でなく、その加算率を調整する必要があります。

      二方路線に面した典型的な土地

      【図17】二方路線に面した典型的な土地

      二方路線に面した典型的な土地

      【表5】二方路線影響加算率表

      地区区分加算率
      ビル街地区0.03
      高度商業地区
      繁華街地区
      0.07
      普通商業・併用住宅地区0.05
      普通住宅地区
      中小工場地区
      大工場地区
      0.02

      二方路線の一部が道路に接していない場合

      【図18】二方路線の一部が道路に接していない場合

      二方路線の一部が道路に接していない場合
      二方路線影響加算額の算出

      185,000円(側方路線価)×1.0(奥行距離15mに対応する奥行価格補正率)×0.02(二方路線影響加算率)×15m÷(15m(二方路線との接面距離)+5m(二方路線との非接面距離))=2,775円

      現実に角地としての効用を有しない場合

      【図19】現実に角地としての効用を有しない場合

      現実に角地としての効用を有しない場合
      現実に角地としての効用を有しない場合
      甲土地の二方路線影響加算額の算出

      185,000円(側方線価)×0.91(奥行距離40mに対応する奥行価格補正率)×0.02(二方路線影響加算率)×15m÷(15m(側方路線との接面距離)+15m(側方路線との非接面距離))=1,683円

      奥行各区補正後の価額は差引計算により評価する方法で算出することができます。

      (計算例)

      想定整形地(この場合、甲土地と乙土地を合わせたもの)の評価額

      250,000円×0.95(奥行距離30mに対応する奥行価格補正率)=237,500円
      237,500円×1,200㎡(甲乙土地の合計面積)=285,000,000円

      乙土地の評価額

      250,000円×1.0(奥行距離15mに対応する奥行価格補正率)=250,000円
      250,000円×300㎡(乙土地の面積)=75,000,000円
      (注)想定整形地及び乙土地は角地ですが、奥行価格補正の段階では角地加算は行いません。

      甲土地の奥行価格補正後の価額

      (285,000,000円(甲土地と乙土地を合わせた土地の評価額)-75,000000円(乙土地の評価額))÷(1,200㎡-300㎡)=233,333円

      甲土地の1㎡当たりの単価

      233,333円(甲の奥行価格補正後の価額)+1,683円(二方路線影響加算額)=235,016円

    • 角地の加算率

      角地の加算率

      地区区分の判定ができれば、次は各種の画地調整率を路線価に乗じて評価額を計算します。

      次のような典型的な角地を前提として、角地加算率が決められています。

      【図14】角地の典型形

      角地の典型形

      角地の場合は、標準的宅地から比較すると、人・車両の出入りが便利、日照・風通しが良くなる、通行量が多い、建設基準法上有利になる等の理由で、価格のプラス要因となります。

      側方影響加算率は、いわゆる四つ角にある土地や、いわゆるT字路の内側にある角地等、複数系統の道路等に面している角地に適用されます(なお、準角地は一系統の路線内側にある角地で、加算率が異なっています。)。

      【表4】側方路線影響加算率表

      地区区分加算率(準角地の場合)
      ビル街地区0.07(0.03)
      高度商業地区
      繁華街地区
      0.10(0.05)
      普通商業・併用住宅地区0.08(0.04)
      普通住宅地区
      中小工場地区
      0.03(0.02)
      大工場地区0.02(0.01)

      評基通の側方路線影響加算は【図14】のような角地を想定した加算率ですので、【図15】のように側方路線に宅地の一部が接している角地の場合には、その加算率を調整する必要があります。

      整形地の一部が接している場合

      【図15】整形地の一部が接している場合

      整形地の一部が接している場合

      (計算例)

      200,000円(正面路線価)×0.95(奥行距離30mに対応する奥行価格補正率)=190,000円

      側方路線影響加算額

      150,000円(側方の路線価)×0.97(奥行距離25mに対応する奥行価格補正率)×0.03(角地の側方路線影響加算率)×15m(側方路線との接面距離)÷(15m(側方路線との接面距離)+15m(側方路線との非接面距離))=2,182円

      対象土地の評価額

      (190,000円+2,182円)×750㎡=144,136,500円

      不整形地の一部が接している場合

      【図16】不整形地の一部が接している場合

      不整形地の一部が接している場合

      (計算例)

      正面路線に対応する奥行距離による奥行価格補正
      正面路線に対応する奥行距離

      500㎡(評価対象地の地積)÷20m(正面路線の間口距離)=25m<30m(想定整形地の奥行距離)
      200,000円(正面路線価)×0.97(奥行距離25mに対応する奥行価格補正率)=194,000円

      側方路線影響加算額の計算
      側方路線影響加算を行う場合の奥行距離

      500㎡(評価対象地の地積)÷20m(側方路線の間口距離)=25m≦25m(想定整形地の奥行距離)
      150,000円×0.97(奥行距離25mに対応する奥行価格補正率)×0.03(角地の側方路線影響加算率)×20m÷(20m(側方路線との接面距離)+10m(側方路線と想定整形地の接面距離との差))=2,910円

      評価対象地の評価額

      194,000円+2,910円(側方路線影響加算額)=196,910円
      196,910円×500㎡(評価対象地の地積)=98,455,000円

    • 不整形地とは

      不整形地とは

      造成宅地は別として、既成宅地は不整形な土地が多いので、不整形地の評価をよく理解しておく必要があります。

      不整形地とは、その長方形の一辺が道路と最大限接するように位置する想定整形地と比較して用います。

      不整形地補正率は、評価対象土地の地区区分、地積、及びかげ地割合によって減額割合が定められています。

      【表8】地積区分表

      地区区分地積区分A地積区分B地積区分C
      高度商業地区1,000平方メートル未満1,000平方メートル以上1,500平方メートル未満1,500平方メートル以上
      繁華街地区450平方メートル未満450平方メートル以上700平方メートル未満700平方メートル以上
      普通商業・併用住宅地区650平方メートル未満650平方メートル以上1,000平方メートル未満1,000平方メートル以上
      普通住宅地区500平方メートル未満500平方メートル以上750平方メートル未満750平方メートル以上
      中小工場地区3,500平方メートル未満3,500平方メートル以上5,000平方メートル未満5,000平方メートル以上

      【表9】不整形地補正率表

      かげ地割合

      地区区分

      高度商業地区、普通商業・併用住宅地区、繁華街地区、中小工場地区

      普通住宅地区

      地積区分

      地積区分

      A

      B

      C

      A

      B

      C

      10%以上

      0.99

      0.99

      1.00

      0.98

      0.99

      0.99

      15%以上

      0.98

      0.99

      0.99

      0.96

      0.98

      0.99

      20%以上

      0.97

      0.98

      0.99

      0.94

      0.97

      0.98

      25%以上

      0.96

      0.98

      0.99

      0.92

      0.95

      0.97

      30%以上

      0.94

      0.97

      0.98

      0.90

      0.93

      0.96

      35%以上

      0.92

      0.95

      0.98

      0.88

      0.91

      0.94

      40%以上

      0.90

      0.93

      0.97

      0.85

      0.88

      0.92

      45%以上

      0.87

      0.91

      0.95

      0.82

      0.85

      0.90

      50%以上

      0.84

      0.89

      0.93

      0.79

      0.82

      0.87

      55%以上

      0.80

      0.87

      0.90

      0.75

      0.78

      0.83

      60%以上

      0.76

      0.84

      0.86

      0.70

      0.73

      0.78

      65%以上

      0.70

      0.75

      0.80

      0.60

      0.65

      0.70

      なお、大工場地区にある不整形地については、原則として不整形地補正は行いませんが、地積が概ね9,000㎡程度までのものについては、【表8】の「地積区分表」及び【表9】の「中小工場地区」の区分により、不整形地としての補正を行ってもよいとされています。

      かげ地割合の求め方

      かげ地割合とは、想定整形地に占める評価対象土地をはみ出した面積の割合であり、不整形の程度を表します。

      【図27】かげ地割合の求め方

      かげ地割合の求め方

      想定整形地の取り方

      想定整形地の取り方を理解するためには、評価手法の基本について知る必要があります。

      一般的に、評価対象土地の評価は、標準的土地との比較によって減算加算しますが、直接比較できない場合は、比較可能な土地に一旦置き直して評価する手法がとられます。従って、規範力のある標準土地と比較可能な想定整形地をどのようにとるかを考えれば、応用力も身についてきます。

      【図28】想定整形地の取り方

      想定整形地の取り方

      想定整形地の具体例

      具体例①
      具体例②
      具体例③
      具体例④
      具体例⑤
      具体例⑥
      具体例⑦
      具体例⑧
      具体例⑨
      具体例⑩
      具体例⑪
      具体例⑫

      ※下記の⑬から⑮までは、左の例(○)が相当、右の例(×)は不相当。

      具体例⑬
      具体例⑭
      具体例⑮
    • 耕作権

      耕作権

      耕作権は地元の農業委員会で農家台帳に登録されているかどうかだけで期間に関係なく、同じ割合が控除されます。

      耕作権(債権)の目的となっている農地の評価は次のとおりです。

      耕作権の目的となっている農地の価額
      耕作権の目的となっている農地の価額

      耕作権の価額は、その農地の自用地としての価額に、農地の区分に従い、耕作権の割合を乗じて計算した金額によって評価します。

      耕作権割合については、各国税局管内ごとに決められています(【表29】参照)。

      (計算)市街地農地の場合

      10,000,000円(市街地農地の価額)×[1-0.40(耕作権割合*)]=6,000,000円
      *耕作権割合は、【表29】「耕作権割合表」の「市街地農地・市街地周辺農地」(大阪国税局の欄)によります。

      都道府県知事(農業委員会)の許可(農地法第3条)を受けていない、いわゆるやみ小作については、耕作権という権利は認められません。

      【表29】≪参考≫国税局別耕作権割合

      純農地・中間農地市街地農地・市街地周辺農地
      札幌国税局 50%
      仙台国税局 50%
      関東信越国税局 50% 30%
      東京国税局 50% 35%
      金沢国税局 50% 40%
      名古屋国税局 50% 40%
      大阪国税局 50% 40%
      広島国税局 50%
      高松国税局 50%
      福岡国税局 50%
      熊本国税局 50%
      沖縄国税事務所 50%

      永小作権(物権)の目的となっている農地の評価は次のとおりです。

      永小作権の目的となっている農地の価額
      永小作権の目的となっている農地の価額

      (計算)永小作権の残存期間30年

      10,000,000円(農地の価額)×[1-0.40(永小作権合*)]=6,000,000円
      *永小作権割合は、【表30】「地上権割合」によります。

      存続期間の定めのない永小作権の価額は、存続期間を30年(別段の慣習があるときはそれによります。)とみなし、上記地上権割合により評価します。

      【表30】地上権割合(相続税法23条)

      残存期間地上権割合
      残存期間が10年以下のもの100分の5
      残存期間が10年を超え15年以下のもの100分の10
      残存期間が15年を超え20年以下のもの100分の20
      残存期間が20年を超え25年以下のもの100分の30
      残存期間が25年を超え30年以下のもの
      及び地上権で存続期間の定めのないもの
      100分の40
      残存期間が30年を超え35年以下のもの100分の50
      残存期間が35年を超え40年以下のもの100分の60
      残存期間が40年を超え45年以下のもの100分の70
      残存期間が45年を超え50年以下のもの100分の80
      残存期間が50年を超えるもの100分の90

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      • 地区区分

        地区区分

        地区区分

        土地の価格が「高い」とか「安い」という基準になるのが、簡単に言うと、道路に面してバランスのとれた長方形の土地、つまり標準的規模の更地(自用地)です。標準的規模は、当然のことながら、ビル用地と住宅用地ではその規模が違うように、地域によっても異なっています。そのため、まず地区区分が、評価において最初の重要なステップになります。そして、土地の持っている力を十分発揮できるよう環境に適合した組合せ、また土地と建物等のそれぞれが適応した組合せになっている場合の土地の最適規模が、価格のリード役を果たし、価格の目安となります。その場合の宅地のことを「標準的宅地」といいます。

        路線価は、その目安となる標準的宅地の1㎡当たりの価格で、標準的宅地とは、別の言い方をすれば画地調整を要しない土地(=整形地)のことです。その形状は、相続税財産評価基準書上では、標準的宅地の規模という表現はしていませんが、【表2】のとおり地区区分ごとに全国一律に画地調整を要しない規模が決められています。これは、課税の公平を図るため、全国一律の画地調整率を採用しているものと考えられます。しかし、農地等を宅地としてする場合の一団の土地については、標準的規模との比較が一つの判断要素になっています。正確には、標準的規模というのは各地域によって異なりますので、かなり専門的判断が必要となり、個々に判定することになります。

        表2

        標準的宅地
      • 将来道路がつく土地

        将来道路がつく土地

        将来道路がつく土地

        将来、土地計画道路が敷設されることによる思惑的実勢価格の上昇は、公示価格水準の価格に極力影響しないように評価額が決められます。

        都市計画道路予定地となっている区域内においては、土地計画法の規定により通常2階建ての建物しか建築できない等、建物の建築に制限を受けることから、宅地として通常の用途に供する場合に利用の制限があります。

        また、このような宅地の価額は、道路用地として買収されるまでの期間が長期間にわたることが一般的であり、現在の利用には特に支障がない場合であっても、その宅地の価額は、土地計画道路予定区域内に無い宅地の価額に比較して減価することになります。

        したがって、このような減価要因を有する宅地の価額は、地区区分、容積率、地積割合の別に応じて定める補正率を乗じて計算した価額により評価します。

        【表11】都市計画道路予定地の補正率表

        地積割合

        地区区分

        ビル街地区、高度商業地区

        繁華街地区、普通商業・併用住宅地区

        普通住宅地区、中小工場地区、大工場地区

        容積率

        容積率

        容積率

        700%未満

        700%以上

        300%未満

        300%以上
        400%未満

        400%以上
        500%未満

        500%以上

        200%未満

        200%以上
        300%未満

        300%以上

        30%未満

        0.88

        0.85

        0.97

        0.94

        0.91

        0.88

        0.99

        0.97

        0.94

        30%以上
        60%未満

        0.76

        0.70

        0.94

        0.88

        0.82

        0.76

        0.98

        0.94

        0.88

        60%以上

        0.60

        0.50

        0.90

        0.80

        0.70

        0.60

        0.97

        0.90

        0.80

        【図40】

        都市計画道路予定地
        都市計画道路予定地
        • 地区区分:普通住宅地区
        • 容積率:200%

        (計算)

        地積割合

        50㎡(都市計画道路予定区域内にある宅地の地積)÷300㎡(評価対象地の地積)=0.1666

        自用地評価額

        200,000円(正面路線価)×0.95(奥行距離30mに対応する奥行価格補正率)×300㎡=57,000,000円

        評価額

        57,000,000円×0.97(都市計画道路予定地の補正率)=52,290,000円

        仮に、この場合その土地の全部が道路予定地とすると、評価額は次のようになります。

        地積割合

        300㎡(都市計画道路予定区域内にある宅地の地積)÷300㎡(評価対象地の地積)=1.0

        自用地評価額

        200,000円(正面路線価)×0.95(奥行距離30mに対応する奥行価格補正率)×300㎡=57,000,000円

        評価額

        57,000,000円×0.90(都市計画道路予定地の補正率)=51,300,000円

        この二つの計算例から、都市計画道路予定地の土地全体に占める割合が17%以上でも100%でもそんなに大きく評価が下がるわけでは無いことが分かります。これは、将来道路ができることによる残地の価格形成要因が大きく代わる可能性と、予定地は公示価格を基準として買収価額が決定され、また税法上の恩典(5,000万円控除や代替資産の取得の特例など)が影響していると考えられます。公示価格は、道路ができることが確実にならない限りその影響を織り込まないことになっていますので、控えめの価格となります。

        以上の点から、都市計画道路予定地となっている区域内の土地を活用あるいは移転する場合には、それぞれの土地ごとに損得をよく検討する必要があります。

        なお、都市計画道路予定地となっている区域内の土地評価上の注意点は、次のとおりです。

        1. 都市計画に合わせて指定されるもの(指定容積率)と建築基準法独自のもの(基準容積率はありますが、建築基準法第52条第1項において準用する容積率)は、どちらも低いものとなりますので、評価計算上で用いる容積率も同じ容積率によることになります。
        2. 倍率地域内にある宅地が都市計画道路予定地にあるときは、「普通住宅地区」内にあるものとした場合の上記補正率を適用することができます。
        3. 道路以外の他の都市施設、例えば都市高速鉄道、都市計画公園または緑地等の予定地のうち、都市計画の公告後長期間にわたって事業決定の認可等がされない場合には、都市計画道路予定地と同じように評価減ができます。
        4. 農地であっても宅地として価格が形成されるような市街地農地を評価する場合にも、都市計画道路予定地内にある場合には同じように評価減ができます。
      • 土地の評価単位と不動産の取引単位

        土地の評価単位と不動産の取引単位

        土地の評価単位と不動産の取引単位

        土地の評価単位と不動産の取引単位

        土地の評価単位とは利用単位であり、用途がほぼ共通している土地等の集まりです。不動産市場ではそれが一つの取引単位であり、そこでは価格が成立するための要因がほぼ共通しているので、その不動産が取引され価格が成立します。

        利用単位として大きすぎる場合には、最も利用価値が発揮される宅地規模に分割して利用することを前庭に価格が形成されます。高級住宅地の画地規模は比較的大きく、小さい規模の宅地があれば併合されることを前提に価格が形成されます。同じ住宅地でも賃貸住宅の敷地は借家人がそこで生活しているので、隣地の更地と併合して利用することは困難ですから、不動産の取引市場では別々に価格が形成されます。

        このように不動産市場といっても不動産によって売手と買手の市場行動が異なるので、個別的な市場となり、それぞれの市場で扱われる宅地の標準的な規模や不動産の利用形態及び権利形態が異なっています。いわゆる高級住宅市場とか賃貸住宅市場とか区別して呼ばれることもあります。そして、それぞれの市場では、地目や現状の用途とは関係なく、最適な用途、最適な規模、そして複合不動産であれば最適組合せであるものが価格のリード役になり、価格が決定されます。

        評価の単位の判定

        用途の同一性

        土地の特性や不動産市場の特性からいえることは、土地の利用単位とは、【図2】のように、不動産が一体となってある用途に供されることでその潜在的効用が具現され、また市場性が認められる取引単位といえます。この場合、ある用途とは、効用が最大限になるように経済合理的に使用すれば選択される使用方法であり、必ずしも現状の使用方法というわけではありません。したがって、現実の用途が農地で会っても、市街化区域にあるため、宅地として利用することが合理的であると考えられ、【図3】のように宅地として利用することを前提として価格が形成されます。

        【図2】土地が複数の筆から成っている場合

        土地が複数の筆から成っている場合
        土地が複数の筆から成っている場合

        【図3】市街化区域等内にある農地

        市街化区域等内にある農地
        市街化区域等内にある農地

        評価単位とは利用上の単位であって、不動産登記上の単位すなわち筆数ではありません。

        同一所有者が同一地目の土地甲と乙を同一の用途に供している場合は、筆数とは関係なく、一体評価します。

        宅地として利用することが標準的使用方法として価格が形成される市街化区域等内の農地は、宅地として利用することを前提として価格が形成されます。【図3】で、田と畑を一つの宅地として利用することが合理的であると考えられる場合には、一体の宅地として評価した価額から宅地造成費を控除して農地の評価をします(これを宅地比準方式といいます。)。

        最適組合せ

        不動産が複合している場合は、その最適な組合せにより一体的効用を最大限発揮するように不動産が構成され、最適な複合不動産を前提として市場価格が成立します。

        このことから逆に、その効用に見合う合理的な費用のかけ方、言い換えると、不動産の構成(不動産の類型)がどうあるべきか、これがわかれば、その構成要素の形式的な名目にとらわれず実質的な権利の内容が把握でき、不動産の構成から評価単位を考えることができます。

      • 不整形地の地区区分

        不整形地の地区区分

        不整形地の地区区分

        不整形地の地区区分を判定する場合、最も高い路線価の付されている路線の地区区分を適用します。ただし、最も高い路線とは奥行価格補正率を適用した後の路線価のことですので、不整形地の場合の奥行価格補正後の路線価の算出方法について、ここで説明することにします。

        不整形地の場合の奥行価格補正率

        (1)区分した整形地を基として評価する方法

        【表8】

        区分した整形地を基として評価する方法
        区分した整形地を基として評価する方法

        (計算例)

        • 甲土地
          100,000円(正面路線価)×0.97(奥行距離25mに対応する奥行価格補正率)×75㎡(甲土地の面積)=7,275,000円
        • 乙土地
          100,000円(正面路線価)×0.97(奥行距離9mに対応する奥行価格補正率)×27㎡(乙土地の面積)=2,619,000円
        • 丙土地
          100,000円(正面路線価)×1.00(奥行距離20mに対応する奥行価格補正率)×60㎡(丙土地の面積)=6,000,000円
        • (甲土地+乙土地+丙土地)の価額
          7,275,000円+2,619,000円+6,000,000円=15,894,000円
        • 奥行価格補正後の価格
          15,894,000円÷(75㎡+27㎡+60㎡)=98,111円

        (2)計算上の奥行距離を基として評価する方法

        【図9】

        計算上の奥行距離を基として評価する方法
        計算上の奥行距離を基として評価する方法

        (計算例)

        300㎡(評価対象地の地積)÷20m(評価対象地の間口)=15m≦想定整形地の奥行距離

        計算上の奥行距離が想定整形地の奥行距離を超える場合には、その計算上の奥行距離に止めます。

        100,000円(正面路線価)×1.0(奥行距離15mに対応する奥行価格補正率)=100,000円

        (3)近似整形地を基として評価する方法

        【図10】

        近似整形地を基として評価する方法
        近似整形地を基として評価する方法

        (計算例)

        100,000円×0.97(奥行距離27mに対応する奥行価格補正率)=97,000円

        この場合の奥行距離も、想定整形地(破線で囲んだ部分)の奥行距離を限度とし、近似整形地(実線で囲んだ部分)で奥行きを計算します。

        (注1)想定整形地とは、不整形地の全域を含む、正面路線価に面する矩形または正方形の土地をいい、それが複数ある場合には、最も面積が小さいものとします。

        (注2)近似整形地とは、近似整形地からはみ出す不整形地の部分の地積と近似整形地に含まれる不整形地以外の部分の面積が概ね等しく、かつ、その合計地積ができるだけ小さくなるように求めたその整形地をいいます。

        (4)差引計算により評価する方法

        不整形地の場合には、その不整形地に係る想定整形地の奥行距離を限度として、不整形地の面積を間口距離で除して得た数値に基づき奥行価格補正率を求めます。【図11】の甲のような事例でこれを適用すると、想定整形地の奥行距離と同じでありながら奥行距離が長い部分がより多く占めているのですから、何らかの奥行補正が必要となります。そこで、甲と乙の合計価額から乙の評価額を控除し、さらに甲の面積で除した額を、甲の奥行価格補正後の価額とします。

        【図11】

        差引計算により評価する方法
        差引計算により評価する方法

        (計算例)

        • 想定整形地(この場合、甲土地と乙土地を合わせたもの)の評価額
          100,000円×0.95(奥行距離30mに対応する奥行価格補正率)=95,000円
          95,000円×900㎡(甲乙土地の合計面積)=85,500,000円
        • 乙土地の評価額
          100,000円×1.0(奥行距離20mに対応する奥行価格補正率)=100,000円
          100,000円×300㎡(乙土地の面積)=30,000,000円
        • 甲の奥行価格補正後の価額
          [85,500,000円(甲土地と乙土地を合わせた土地の評価額)-30,000,000円(乙土地の評価額)]÷(900㎡-300㎡)=92,500円

        【図12】

        計算例-図12

        図12のように、評価対象土地甲が不整形地の土地の場合にも、同様の計算をします。

        甲土地の奥行価格補正後の価額=(甲土地と乙土地を合わせた土地の評価額-乙土地の近似整形地の評価額)÷甲土地の面積

        (1)~(4)の方法の中で、その問いに最も適した合理的な方法を採用することになります。