離婚に伴い養育料を一括で支払う場合の取扱い

POINT

養育費とは、子どもを育てていくために日常的に必要な費用(食事、被服費、教育費等)のことをいう。親の離婚に伴う養育費の請求は、未成年者が同居しない親に対して持つ扶養請求と捉えることができる。養育費は日常的に負担する費用であるので、養育費の総額を一括払いした場合、原則として贈与課税の対象となる。課税を避けるためには、一括受給された養育費を金銭信託し、毎月一定額の均等給付を受ける法法がある。

子の養育費は毎月支払うのが原則だが、養育費の支払いは、通常、長期間にわたるため、確実な毎月の履行確保が難しいのでまとめて支払いを受ける必要が生ずることがある。他方、一括受領した養育料を監護養育者によって、他の用途に消費されることを防ぎ毎月の履行を確保できるよう金銭信託契約を締結して毎月一定額の均等給付を行い、他方が一方的に解約できないようにしなければならないケースも存する。

このため、養育費の総額を信託する方法がとられることがあるが、次の場合には、その養育料の金額が、その支払いを受ける子の年齢その他一切の事情を考慮して相当な範囲内のものである限り、贈与税は課税されない(昭和57年6月30日直審5-4「離婚に伴い養育料が一括して支払われる場合の贈与税の取扱いについて」)。

  1. 養育料の支払義務者が養育費支払い年数分の金銭を子ども名義の普通預金に支払い、子どもが委託者兼受益者となり、支払義務者を契約解除同意者とした金銭信託契約を信託銀行と締結し運用する。
  2. 支払義務者が委託者兼信託契約解除同意者となり受益者を子どもとし、養育費総額を信託し、受託者である信託銀行が運用する。

本通達は相続税法21条の3第1項2号の非課税要件である扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるために贈与により取得した財産のうち「通常必要と認められるもの」の適用事例を示したものといえる。