利用単位の判定が分かれる場合に、参考となる考え方はある?
評価の単位を判定するには、不動産市場で一つの取引単位となるかどうかを考えて、利用単位や不動産構成の最適組合せ等を総合的に判断して評価単位を決定します。
不動産がどのように利用され、どのように構成(組合せ)されて、さらにそれについての不動産市場がどのような評価を受け市場価格が形成されるかを考えると、権利関係が複合した不動産の場合などの利用単位についてヒントが得られます。
ゴルフ練習場を経営するため住宅地域にある宅地を賃貸借した敷地にゴルフ練習施設と事務所がある場合
ゴルフ練習場敷地の評価上、事務所敷地の賃借権を借地権として控除すべきか否か、判断に迷うところです。この場合、事務所に借地権がついている、あるいはゴルフ練習場全部に借地権があるとして、貸地評価すれば相続税が安くなるので、そのような考えに傾きがちです。しかし、ゴルフ練習場の事業経営としてゴルフ練習場の施設等(構築物)と借地権との組合せが経済合理性にかなっているかという点、及び不動産市場をも考慮すると、賃貸契約で借地権が設置されているとみることは、慎重に判断しなければいけないというヒントを得られます。つまり、住宅地域で借地権を設定し、しかも建物を所有する目的も見当たらないようなケースでは、むしろ施設の利用を目的としていますので、全体を貸し付けられている雑種地として評価するのが合理的ということになります。
比較的交通の便が良い地域に自動車学校用地を賃貸借している場合
自動車運転教習コースの構築物の他、建物が敷地の一角に建っています。この敷地を評価する場合、借地権を控除すべきか判断が難しいことがあります。交通法規等を学ぶための教室や学校事務室等は、自動車学校運営には不可欠です。また、建物は通常長期所有を想定し、安全にも配慮した堅固な建物とすることになります。つまり、建物自体の利用を目的とすることが必要であり、借地権が設定されているのではないかと考えるのが経済合理性から見て妥当であると考えられます。練習コースも同様に考えるかは、賃貸契約で区分しているか、賃貸料の計算方法等、賃貸契約の内容から借地権の範囲などをよく検討して評価しなければならないということになります。
賃貸住宅の敷地に隣接する貸家の賃借人専用駐車場
駐車場は雑種地として評価するものと考えがちですが、この賃貸住宅と専用駐車場とは、一体となった賃貸不動産であり、不動産市場で一つの賃貸不動産として価格が形成されます。このような場合には、全体を貸家建付地として評価することになります。