公正証書遺言をお勧めします
相続税が課税されるほどの財産をお持ちの場合、遺言作成にも節税の知恵が必要となる場合が少なくありません。いざという時に納めていただく相続税が数百万円、場合によっては数千万円変わってくるケースがあります。
いざ作り始めて、納得のいく遺言を作るのは意外に体力も知力も必要です。
ぜひ、健康で元気なうちに遺言をお作りください。
税理士法人日本税務総研は節税の観点からも遺言作成のお手伝いをしています。遺言作成の折は、ぜひご相談ください。
公正証書遺言の作り方
公証人役場に行って公証人に相談すると公正証書遺言を作成してくれます。
信託銀行など信託免許を受けている金融機関に相談に行くと、遺言専門の銀行員が原案を作成し、公証人と折衝して公正証書遺言を作成する手伝いをしてくれます。
効果のある遺言を作成するには、次のような一定の専門的な知識が必要です。
- 特定遺贈の積み重ねで記載されている遺言であること
具体的にどの財産を誰に承継させるかを記載している遺言でなければ、遺言があっても、遺産分割協議が必要になります。
例:単に相続分を指定する遺言 - 相続させる旨の遺言であること(遺産分割方法の指定遺言)
遺言があっても相続させる旨の遺言でなければ、所有権移転に他の相続人の判を必要とする場合があります。 - 遺留分を侵害しない遺言であること
弁護士の関与を誘います。遺言に不服を持つ相続人が弁護士に相談すると、遺留分を主張する旨の内容証明が送られてきて、法廷闘争が勃発する可能性が出てしまいます。 - 信頼できる人や銀行などを遺言執行者に指名してあること
遺言に書かれた内容どおり遺産を分割することは大変な事務作業です。遺言を作成したら、遺言執行者を指定することをお勧めします。
遺言の種類
遺言には大きく分けて自筆証書遺言と公正証書遺言があります。
我々は、小学校でも中学校でも高校でも大学でも、 誰も遺言の書き方を習ったことがありません。
書店に行くと、遺言の書き方を解説した本がたくさん並んでいますが、見よう見まねで書いた遺言の記載内容に疑問が生じても、その時あなたはこの世にいないので「その文章はこういう意味なんだ!」と説明をすることができないのです。遺言の文言の解釈について、相続人間で意見が異なると弁護士が登場し、法廷闘争が勃発するかもしれません。争いを避けるためにしたためた遺言が、かえって紛争を引き起こす原因になってしまう場合があるのです。
公証人は基本的に定年まで裁判官や検事を務めあげた法律の専門家です。
あなたの想いを託す大切な遺言を、解釈の相違が生じないよう公証人に確認してもらうことは、決して無駄なことではありません。
遺言の必要性
我が国の民法は遺言を前提としており、遺言のない時には法定相続分を基準として分割することとしています。
どの財産を誰に残したいかを効果的に決めることができるのは、財産を培ったあなたです。さらに、相続税法は、遺産を誰が取得するかによって相続税が大幅に変わる仕組みになっているのです。
遺言があれば相続争いが起きないかといえば、そうではありませんが、 遺言がなければ、相続人全員の合意がないと財産の分割ができません。
気難しい相続人が一人いるだけで、あなたの預金を下ろすことができなくなります。自宅を妻に相続させたいとの願いも、遺産分割協議がそのように整わないとかないません。相続登記もできません。相続人に未成年者や高齢で意思能力のない人がいると特別代理人や成年後見人を立てないと分割協議ができません。
上述の要件を備えた公正証書遺言があれば、相続人の中に、抵抗する人がいても、未成年者がいても、認知症の方がいても、遺産分割はスムーズに実施されます。
子どものいない夫婦の一方が亡くなると、残された配偶者は、相手方の兄弟姉妹と遺産分割協議を行わなければなりません。
子どものいない夫婦は、必ず遺言をしたためましょう。
できれば、公正証書遺言が理想的ですが、とりあえず、今晩にでも実行してください。
「愛する妻〇〇〇〇(昭和〇年〇月〇日生まれ)にすべての財産を相続させる。平成〇年〇月〇日」と手書きで記載し、自署押印を行えば完成です。
この紙切れ一枚があるとないとでは、残された奥さんの苦労が違います。
障がい者の子どもがいらっしゃる方は、障がい者に手厚く財産を残すこともできます。障がい者が財産管理ができない場合は、成年後見制度の活用とともに、特定贈与信託(障がい者を受益者とする信託)を活用する方法があります。(特定贈与信託をご希望の方は信託銀行にご紹介します。)
母校や福祉施設など法人に財産を遺贈することもできます。現金などを法人に遺贈する場合は、特に問題は生じませんが、「値上がり益がある土地や有価証券」を遺贈する場合は、譲渡所得が生じ、相続人が準確定申告を行い所得税を納税しなければなりません。
事前に税理士と遺贈を受ける法人に相談をしておくことが肝要です。