倍率地域にある農地・山林
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倍率地域にある農地・山林は宅地比準方式で評価することがある?

倍率地域であっても、市街地周辺の農地や山林等の場合は、宅地比準方式で評価する場合がまれにあります。

不動産を経済価値として捉える方法について、不動産と人間の生活がどのように関わり合っているか(不動産のあり方)という観点が重要になり、①人間がその不動産をどのように利用することによって効用(快適性と収益性)を得ているか、②人間がその不動産を利用するためにどのような形態(有形的利用及び権利の態様)に作り上げてきたか、という二面的に捉えます。

【表14】倍率地域(市街地的形態を形成する地域以外の地域)における土地のあり方

倍率地域(市街地的形態を形成する地域以外の地域)における土地のあり方
倍率地域(市街地的形態を形成する地域以外の地域)における土地のあり方

【表14】の「自用地」欄の数字は、【表15】の「区分」の欄の数字を表します。

区分「1」の純農地は農地として利用することが最も合理的な農地です。
区分「2」の中農地は農地として利用することが合理的な農地です。
区分「3」の市街地周辺農地は、宅地として利用することも可能な農地です。
区分「4」の市街地農地は、宅地として利用することが合理的な農地です。

【表15】財産評価基準の農地の評価上の区分と評価方法

区分内容評価方法
1純農地
【表14】「1」
次に掲げる農地のいずれかに該当するものをいいます(ただし、市街地農地に該当する農地を除きます。)。
イ 農用地区域内にある農地
ロ 市街化調整区域内にある農地のうち、第1種農地または甲種農地に該当するもの
ハ イ及びロに該当する農地以外の農地のうち、第1種農地に該当するもの。ただし、近傍農地の売買実例、精通者意見価格等に照らし、第2種農地または第3種農地に準ずる農地と認められるものを除きます。
倍率方式
2中間農地
【表14】「2」
次に掲げる農地のいずれかに該当するものをいいます(ただし、市街地農地に該当する農地を除きます。)。
イ 第2種農地に該当するもの
ロ イに該当する農地以外の農地のうち、近傍農地の売買実例価額、精通者意見価格等に照らし、第2種農地に準ずる農地と認められるもの。
倍率方式
3市街地周辺農地
【表14】「3」
次に掲げる農地のいずれかに該当するものをいいます(ただし、市街地農地に該当する農地を除きます。)。
イ 第3種農地に該当するもの
ロ イに該当する農地以外の農地のうち、近傍農地の売買実例価額、精通者意見価格等に照らし、第3種農地に準ずる農地と認められるもの。
その農地が市街地農地であるとした場合の価額(宅地比準方式)×80%(注)
4市街地農地
【表14】「4」
次に掲げる農地をいいます。
イ 農地法第4条または第5条に規定する許可(以下、「転用許可」といいます。)を受けた農地
ロ 市街化区域内にある農地
ハ 農地法の規定により、転用許可を要しない農地として、都道府県知事の指定を受けたもの
宅地比準方式または倍率方式

(注)80%相当額に減額するのは、宅地転用が許可される地域の農地であるが、まだ現実に許可を受けていないことを考慮したものです。

【表16】山林・原野の評価上の区分と評価方法

区分評価方法
純山林・純原野【表14】「1」倍率方式
中間農地・中間山林【表14】「2」「3」倍率方式
市街地農地・市街地山林【表14】「4」宅地比準方式または倍率方式