路線価地域にある農地・山林

路線価地域にある農地・山林の評価

宅地として利用されることでその土地の効用が最大に発揮できる地域にある土地が、農地または山林である場合には、造成等をして宅地に用途を変更して利用するというのが経済上合理的であるため、市場価格は宅地を前提として形成されます。

したがって、農地・山林であっても宅地に比準して評価することになります。

路線価地域にある農地・山林の評価額
路線価地域にある農地・山林の評価額

路線価地域にある農地

【図42】

路線価地域にある農地
路線価地域にある農地
その農地が宅地とした場合の1㎡当たりの価額

100,000円×0.95(奥行距離30mに対応する奥行価格補正率)=95,000円

1㎡当たりの宅地造成費用相当額(【表17】「大阪国税局」欄参照)
  1. 整地費
    1,200㎡×700円=840,000円
  2. 地盤改良費
    1,200㎡×1,700円=2,040,000円
  3. 土盛費
    1,200㎡×7,100円=8,520,000円
  4. 土止費
    100㎡(土止を要する擁壁の面積)×75,500円=7,550,000円
  5. 1~4の合計
    18,950,000円
    18,950,000円÷1,200㎡(造成を要する土地の面積)=15,791円
その農地の1㎡当たりの価額

95,000円(その農地が宅地とした場合の1㎡当たりの価額)-15,791円(1㎡当たりの宅地造成費相当額)=79,209円

その農地の評価額

79,209円×1,200㎡=95,050,800円

宅地造成費相当額は、国税局ごとに異なりますので、物件所在地を管轄する国税局の財産評価基準書を確認する必要があります。

路線価地域にある山林

【図43】

路線価地域にある山林
路線価地域にある山林
その山林が宅地とした場合の1㎡当たりの価額

100,000円×0.80(奥行距離120mに対応する奥行価格補正率)=80,000円

1㎡当たりの傾斜地に係る宅地造成費用相当額

60,200円(【表17】「傾斜地の宅地造成費」の傾斜度25度以下(大阪国税局)を参照)

その山林の1㎡当たりの価額

80,000円(その山林が宅地とした場合の1㎡当たりの価額)-60,200円(1㎡当たりの宅地造成費相当額)=19,800‬円

その山林の評価額

19,800‬円×7,200㎡=142,560,000円

【表17】各国税局別宅地造成費(令和6年分)

平坦地の宅地造成費

費目

造成区分と単位

金額

札幌国税局

仙台国税局

関東信越国税局

東京国税局

金沢国税局

名古屋国税局

整地費

整地費

整地を要する面積1㎡当たり

700

800

800

800

800

800

伐採抜根費

伐採、抜根を要する面積1㎡当たり

1,000

1,100

1,000

1,000

1,000

1,000

地盤改良費

地盤改良を要する面積1㎡当たり

2,300

2,100

2,000

2,000

2,000

2,000

土盛費

土盛を要する体積1㎥当たり

7,100

8,000

7,700

7,500

7,500

7,700

土止費

必要とする擁壁面積1㎡当たり

87,400

87,500

81,200

82,000

77,000

81,500

費目

造成区分と単位

金額

大阪国税局

広島国税局

高松国税局

福岡国税局

熊本国税局

沖縄国税事務所

整地費

整地費

整地を要する面積1㎡当たり

700

700

700

700

700

700

伐採抜根費

伐採、抜根を要する面積1㎡当たり

1,000

1,000

1,000

1,000

1,000

1,000

地盤改良費

地盤改良を要する面積1㎡当たり

1,700

2,000

2,000

2,000

2,000

2,600

土盛費

土盛を要する体積1㎥当たり

7,100

7,100

7,300

7,300

7,200

7,800

土止費

必要とする擁壁面積1㎡当たり

75,500

75,900

75,900

72,400

55,300

73,000

傾斜地の宅地造成費

傾斜度札幌国税局仙台国税局関東信越国税局東京国税局金沢国税局名古屋国税局
3度超~5度以下23,20022,20021,60021,70021,30021,000
5度超~10度以下28,60026,80026,00026,10025,70025,400
10度超~15度以下43,60042,30040,70040,90039,00040,200
15度超~20度以下61,70060,20057,60057,80055,00056,700
20度超~25度以下68,30066,60063,80063,90061,10062,700
25度超~30度以下70,10067,70067,90068,90066,60065,900
傾斜度大阪国税局広島国税局高松国税局福岡国税局熊本国税局沖縄国税事務所
3度超~5度以下19,80020,80021,10020,60019,70020,700
5度超~10度以下23,80025,00025,20024,90022,60024,900
10度超~15度以下38,20038,40038,30041,10038,00041,200
15度超~20度以下54,40053,50053,00058,00053,80058,100
20度超~25度以下60,20059,40058,90064,10060,00064,300
25度超~30度以下64,00065,00066,00066,60066,90066,900

(注)傾斜度3度以下の土地については、「平坦地の宅地造成費」の額により計算します。

宅地比準方式と利用区分

宅地比準方式は、現況の利用状況を前提とした評価では無く、宅地転用を想定して評価するため、現況地目は影響しません。

そのため、次のような事例の場合には、ABC全体を一団の宅地として評価することになります。

【図44】

宅地比準方式と利用区分
宅地比準方式と利用区分

宅地として利用することを想定すると、A土地を単独で宅地として利用するより、地域の標準的な宅地規模から考えた場合にはB土地と一体利用する方が合理的です。さらにC土地は山林または原野であり、通常農地と山林を一体として利用しているとみることはできませんが、この場合には道路に面していない土地となり単独で評価することは妥当で無いことになります。

このように、その形状、地積の大小、位置等からみて全体を一団の土地として評価することが合理的である場合には、これを一団の宅地として評価し、宅地造成費を控除します。