農地にかかる相続税の特徴
- 納税猶予の検討
- 市街地農地や市街化調整区域農地の吟味
農地の納税猶予の検討
相続税の納税猶予とは、相続又は遺贈により農地・採草放牧地・準農地を取得した人が、引き続き農地として利用する場合に本来の相続税額のうち農業投資価格を超える部分を一定の要件のもとに猶予し、相続人が死亡した場合は猶予税額を免除する制度です。
相続税の土地の評価の原則は、「宅地として公開市場で換価する場合に成立する価額」で評価する、というものです。
農地を宅地化しないで農業の用途に限定して引き続き使用すると想定した場合、宅地化を前提とした価額で評価すると過大評価になってしまいます。その過大評価のまま課税されてしまうと、農業を継続したくても、相続税を払うために農地を売却せざるを得ないという問題が生じます。
この問題を回避する目的で昭和50年に自ら農業経営を継続する相続人を税制面から支援するために「相続税の納税猶予」という制度が設けられました。この制度の仕組みは「農業投資価格」という農地としての収益還元価額と、宅地としての交換価値を前提とした評価額との差額に対応する一定の相続税を猶予するという仕組みです。
準農地とは
10年以内に農地又は採草放牧地として農業に供することが適当と市町村長が証明したものです。
農地の評価
市街地農地及び市街地周辺農地は宅地転用が容易にできるので、田や畑を埋め立て宅地化する費用を控除して、近隣の宅地に準じて評価します。
市街地周辺農地とは
市街地周辺農地とは、市街化調整区域内の第3種農地をいいます。第3種農地とは概ね300m以内に駅があるなど市街地に隣接する農地で、市街化調整区域にありながら農地法上宅地転用許可ができる農地です。
農地の評価単位
市街地農地及び市街地周辺農地(以下、市街地農地等という)の評価単位は、利用の単位となっている一団の農地です。
利用の単位とは、一体として利用される範囲を指し、自用の土地は全体を一単位として評価します。
農地法上の小作権が存する土地について、貸付先がそれぞれ異なっている場合には、同一人に貸し付けられている部分ごとに利用の単位とします。
生産緑地は耕作しなくても任意に売却できないなど制約がかかっている土地なので、個々の生産緑地は各々一単位として評価します。生産緑地が市街地農地と隣接しているような場合であっても、それぞれを「利用の単位となっている一団の農地」として評価します。
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