倍率地域にある農地の宅地比準方式による評価はどうする?
近傍宅地の固定資産税評価額に画地補正が必要な場合は、路線価方式と同じように補正できます。
以下のように「倍率表」で宅地の欄に倍率が表示され、農地の欄に「比準」と表示された地域については、宅地に比準して農地を評価します。
市街地にあるため、農地であっても宅地として利用されるものとして価格が形成されます。
したがって、宅地の評価額から宅地にするために要する造成費を控除してその農地を評価することになりますが、倍率地域は路線価がありませんので、その物件の所在する市町村で近傍宅地の1㎡当たりの固定資産税評価額を記した評価証明書を発行等してもらい、標準的な宅地の相続税評価額を計算します。
評価の基とした宅地の1㎡当たりの相続税評価額
65,000円(近傍宅地の1㎡当たりの固定資産税評価額)×1.1(評価倍率)=71,500円(仮称:標準宅地の評価額)
標準宅地の評価額と評価する農地が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額との格差率の計算
ここでは、前面道路の価格を指数10と仮定して計算します。(指数は1でも評価の基とした宅地の1㎡当たりの相続税評価額71,500円でもかまいません。)
- 農地が宅地であるとした場合の1㎡当たりの指数
10×0.99(530㎡÷20m=26.5mの奥行価格補正率)×0.99(不整形地補正率)×1.0(間口狭小補正率)=9.80 - 不整形地補正率
地積区分 普通住宅地 B
かげ地割合=(600㎡-530㎡)÷600㎡=0.116
標準宅地の評価額と評価する農地が宅地であるとした場合の1㎡当たり評価額
71,500円(評価の基とした宅地の1㎡当たりの相続税評価額)×9.80(標準宅地の評価額と評価する農地が宅地であるとした場合の1㎡当たりの格差率)÷10=70,070円
評価対象地の評価額
(計算を簡略化するため、整地のみを要する農地と仮定します。)
70,070円-600円(宅地造成費:【表17】「平坦地の宅地造成費」の整地費(大阪国税局)の場合)=69,470円
69,470円×530㎡(評価対象地の地積)=36,819,100円
(参考)計算書として「市街地農地等の評価明細書」があります。